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常山紀談
拾遺二
輝政公〈○池田〉武将の重宝とすべきは、領分の百姓と譜代の士と鶏と三品なり、それお如何と雲ふに、〈○中略〉目に見ゆる相円、耳に聞ゆる相図は敵の耳目にかゝることゆへに、たやすく敵国にてなしがたし、鶏鳴は誰もその相円ぞと知らざるゆへに、即ち敵国の鶏鳴にて、一番鳥(○○○)にて人衆お起し、二番鳥(○○○)にて食し、三番鳥(○○○)にて打立などゝ相図お究て、敵もその相図お知らざるの徳あり、この三つの重宝なり、是お三の重宝と立しと宣ふなり、