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重修本草綱目啓蒙
三十二/原禽
雉 きヾす〈和名抄〉 きじ〈同上〉 きヾし〈古歌〉 きヾすへどり みゆきどり かほよどり かほどり一説雄 やまのうつばり うつばり さのつどり のつとり〈共同上〉 一名鳩〈禽経〉 原禽〈典籍便覧〉 良游〈事物異名〉 夏翟 戸旅還〈共同上、蒙古名、〉 妬挽〈事物紺珠〉 錦衣 史芳卿 義鳥〈共同上〉 積陰〈通雅〉 陳宝〈故事成語考〉
山野に多れども人に近づかず、雛お取て畜へば、善馴れども、長ずれば自逃れ去る、雄は頂に小紅冠ありて時々これお出す、冠出るときは、耳辺にも小く赤き冠の如き者お出す、大和本草に、摂州能勢郡神山村及大和長谷山の雉は、冠なしと雲へり、〈○中略〉春夏には更に応じて鳴く、必二声高く響て短し、その肉味美にして上膳に供す、然ども秋冬のみ食ふべし、益あお、春後は肉癯脂少くして佳ならず、且毒あり食べからず、東北州最多し奥州にては玉造郡岩出山の雉お上品とす、玉造きじと雲、又南部三戸郡田子の雉お名産とす、献上あり、