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百千鳥

尾長雉子 餌かい 前同〈○きび、菜、玄米、〉
大きさ高麗きじより大きく、尾長し、今ふつていなるものにてわたらず、子もなすべし、追而考べし、当時なか〳〵巣のところへゆかず、一向なし、それゆへにりやくす、
白雉子 餌かい 前同
大きさ高麗きじにおなじやう、かうらいのしろきものなり、耳もあり、本しろ雉子すくなし、真白のうち尾のかたへかゝりたる蓑毛のはしすこし黄にかばいろなるお、本性のしろ雉子とす、是は塒の度だん〳〵常の雉子になるものにてたのみなし、大かたはとやにてほん毛へもどる物なり、本性の白雉子はすくなし、子もずい分出来る也、飼かた錦鶏におなじ、
高麗雉子 餌かい 前同
大きさ和の雉子に少し大ぶり、頭黒く茶色の毛交り光あり、脊も常の雉子のごとく、胸黒くむらさきいろに光、脇腹にかき色の毛あり、毛の末に黒き玉のふ有、尾常の雉子のとふり、見事成首輪切ざるお上とす、眼もふどう目およしとす、かし目はあしゝ、雌雄ともに眼お吟味すべし、玉子は廿四日にて開、子は錦鶏より又飼立にくき物なり、筋つまる病出て、十羽に五羽は落たがる物にてかいにくし、中子に成まで、上籠にて飼立るがよし、庭籠へ早く放す時は怪我多し、其うへ上籠にて久しく飼ふ時は、能馴れてよし、うづらより大きく成たる頃、庭籠へ放すべし、子のうち首の上より脊へかけて、赤く照出るは女鳥也、しらけたるは男鳥也、総たい飼方錦鶏におなじ、其年の内とやお上、見事に成る物也、