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塵袋

一雷鳴と地震とには雉なく事あり、其の心如何、
洪範五行雲、正月雷微動而雉吼、雷は諸隻之象也、雉も亦人君之類也と雲へり、これにて思には、同類お感じてなく心なり、地震にはかならずなく、是はおそれおどろく歟、伯耆国の風土記に雲く、震動之時は、鶏雉悚懼して則鳴、山鶏は踰嶺谷、即樹羽登踊也と雲へり、鶏雉やまとり、これらばみな陽の気おうけたるとりなり、地震は陰陽ふさがるとき、必ずある事なり、されば陽の精なるによりて、いたみおどろく歟、