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庖厨備用倭名本草
十/原禽
鸐雉〈○中略〉 元升曰、山雞は其一名なり、多識篇の程字鸐字とおなじ、考本草、一名山雉、一種小して尾長お山雞とす、人多くこれお樊中に畜ふ爾雅にいへる鸐は山雞なり、四種あり、名同じうして物異なり、雉に似て尾の長さ三四尺なるは鸐雉也、鶴に似て尾の長さ五六尺、又よく走りて鳴くものは鷮雉也、此外二つは鷩雉と錦雞なり、鷮鸐はみな勇健也、自ら其尾お愛して叢林に入ず、雨雪には岩にふし木にすみて下りて食お求めず、往々に餓死す、師広禽経雲、雪封枯原文禽多死と是也、〈○中略〉元升曰、此註おみれば、鸐雉はやまどり疑なし、山どりは雉に似て尾長く、雪雨には岩に伏し木にとまりて食お求めず、餓死するもの也、
鸐雉肉味甘性平小毒あり、五臓気喘して息しがたきお治するに、羹〓にして食す、炙て食すれば中お補ひ気おます、
食禁、痔ある人は食すべからず、多食すれば痔お発す、久食すれば痩おいたす、合食禁、蕎麦、豆豉、卵は葱と同食すべからず、此外皆雉とおなじ、