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飼鳥必用

錦鶏
いつの比渡しとゆふ事不知、紅毛持渡にて、何れ外国鳥と相見へ目色不常、生立方白鷴と同じ、雛の内雌雄も分り兼候得共、足の色も少し替り、総羽赤実出候は雄也、雌は目の色違ひ、産巣ならば雄壱羽に雌三羽付置、羽おばこき囲の内放飼にて、夜々庭籠へ留候得者、玉子落しよふ宜敷、かならず高き所へ登りたがり、玉子産み候山にては、木の上へ巣組、玉子産かへり候へば、土地にて生立候ものにはあらず哉、気お付候得者、其様子相見へ申候、地鳥水鳥にも木のうへゝ巣組の鳥多有之物也、功者へ尋度思ひしかど、外国鳥にてしる人なし、庭籠の内へ飼詰には、雌雄引放し差置、盛りの時節掛け合、一度掛り候得者不残かへる事無相違、雄盛りの時随分気付、雌の不痛よふに計べし、四季とも盛り有る鳥にて心得可有事、熱気強鳥鼻のつまる事有り、早速療治するべし、〈○中略〉
天鶏
唐紅毛の渡鳥にもあらず、錦鶏と高麗雉子懸合せ、玉子落し生立、天鶏と名附、錦鶏と地雉子と懸合せも有之、右善惡毛色いろ〳〵あり覚べし、鶏と雉子と懸合、雁鶏(がんけい)と名附、毛色善惡有り、此類盛薄く、玉子かへり兼候もの也、飼方雉子之通り、