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庖厨備用倭名本草
十/原禽
鷓鴣〈○中略〉 考本草江南に生ず、かたち母雞に似て、鳴て句輈格磔(こうしゆかくさく)と雲もの是なり、形相似て此鳴おなさヾるものは非なり、蘇容曰、かたち母雞に似て、頭はうづらの如く、むねに白円点ありて真珠の如し、背毛に紫赤浪文あり、李時珍曰、鷓鴣は霜雪お恐る、早晩には出ること希也、夜栖には木葉お以て身におほふ、今俗雲、其鳴は行不得歌(あんぶてか)也と、元升曰、是はしぎの類なるべし、形母雞の如くといへば、うばしぎにてもあらんか、鷓鴣おしる人なし、
鷓鴣、肉味甘性温毒なし、嶺南野葛菌子毒生金毒おけし、温瘧久病死せんとするには、毛ともに熬酒に漬し服す、或は生にてつきしぼりて、汁お服して最よし、よく五臓お利し、心力おまして聡明なり、食禁、自死のものは食すべからず、多食すべからず病お生ず、合食禁、竹笋と合食すべからず、