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飼鳥必用

巾著鶉とて袋に入腰に提、座敷にて袋より出し諦する仕込方、
荒鳥お野移にして双の羽おこき、厚きれにて六七寸廻りなる巾著お拵へ、口は如常緒にて〆、能拵へ、巾著のそこに六七寸廻りの丸き板お入、それにて右の鶉お入置、昼は其儘にて、夜分は灯の元にて、初には鶉の面計巾著の口よりいだし、粟稗の類、手に入、是お飼候て、毎夜々々其通りにして、だん〴〵総身お巾著より出し諦せる也、又もとの巾著に入、腰に提て、常々右のとおりに取扱ひにて、自然と手馴候、此仕込、鳥の手馴ざるも有り、能く手馴るもあり、二三羽も同様に仕立、其内に思ふ通り不参もあり、子鶉は不宜、老鳥は荒く、野鳥の若鳥お見計り仕込方宜、鶉に不限、放し飼の仕込、何れ若鳥の方宜敷、鳥お手馴よふに夜飼いたし、段々相馴れ、外に仕方無之、夜飼にて昼は水おして、人近き所へ居置候得ば、自ら人馴いたして、盛もはやく出るもの也、