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内安錄
一山鳩(○○)は絵にて見る計なるに、越前屋彦四郎〈本郷一丁目〉の飼鳥お見て、珍敷ものと思ひしに、桑山修理が咄には、修理の知行大和国にては食物にするよしお聞けり、石清水臨時祭後度の出御、桐竹鳳凰の御袍お遥拝し、極臈の袍お見れば、いかにも山鳩色とは、よく名付たるものと思はる、又肥前大不領民家の庭に、山鳩色なるものお笊に入て並べたるお見、何ぞと尋しに、醤油の麹也といふ、麹塵の色奇妙也、越前屋の飼鳥、大村領の麹お見て、漸発明せしはおかしかりき、関東もの衣文などおものしり顔にいふは、僻事多かるべし、