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百千鳥

諸鳥餌飼並薬之事
鳩の類何も菜お飼ふがよし、すりえに遣ひたる跡の菜のくきの所よし、葉くひがたし、とかくくきの所おきざみ飼ふべし薬也、又孔雀鳩などには、肉の落たる時、焼味噌おして丸め、少し計飼ふがよし薬也、肉上る也、
鳩之類煩ふに薬之事
鳩の類煩ひは、多くは餌も喰ながら、ふら〳〵と煩ふて、肉段々に落て、三十日四十日も煩ひて落るもの也、右のおりはうなぎおきざみて、当芬餌にすり、米の粉のかわりに豆の粉お入ねり交、青みも強く青きほどよし、かたくねりて一目に四五度づヽわり餌にすべし、一まわり程の内に肉あがり直る物也、又子あがりの鳩の、右のごとく煩ふには、予が案事の療治あり、銀鳩白子鳩に多く、右のとふりの煩ひ、子あがりに有、其折は子お取出し、右のすりえお飼、さて水お飼入か猪口などへ入、口へおし付て呑せてよし、水お呑ならはぬ鳥、子上り多く此煩ひ有、殊のほか其時よろこび水お呑もの也、一日に三度ほどづヽ呑せだるがよし、猶銀鳩白子鳩の類、此わずらひにて落したり、六七年以前不計案事て如斯する時、一羽も落る事なく育なり、愚案の秘事也、