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百千鳥

べに雀 餌がい 〈きび、小米、あわ、〉
大きさじやがたらによ程小ぶりにて、赤く茶色の毛も交りたり、両羽に白き星こまかに有、見事なる鳥也、口觜赤く足黄也、雌は茶色にて赤みも少し有、よわき鳥なり、觜よりくさり出落る、とかく觜あしくなる物也、又寒気にもいたみ飼にくし、巣もなす鳥有、きびは皮おさり、又引割て飼ふべし、多引割ておく時はあしくなる、其折々少宛こしらへ置て飼がよし、 べんがら雀(○○○○○) 餌がい 前同
右紅雀のうち也、よほど鳥大き成物也、諸事紅雀同事、〈○中略〉
じやがたら雀(○○○○○○) 餌がい 前同〈○きび、もみ、米、あわ、〉
大さ和のさゞいに似て、総身かき色に、むねより脇はらの下まで鱗のふ有、又あしきはうろこの形なく、かきいろにてあしゝ、上觜黒く、下觜紺色にて太し、足も紺色なり、腹うす白し、巣もなす烏也、文鳥のごとく春秋に子おなす、しかし巣おなす鳥は、十姉妹と違まれ也、横に口お明たるふごお釣べし、〈○中略〉巣ぐさはところの毛、しゆうの毛多く入置べし、又かれ芝、笹の落葉、わらは九寸位に切て、はかまみご共に入べし、子はかへりても文鳥のごとく、きび、あわのもやしお飼ふ也、えごまもよし、
せうき雀(○○○○) 餌がい 前同
大さ総たひ鳥の形、きんばら碧鳥に同じ、諸事似たる物也、総身とび色のこき色にて、頭よりむねのうへまで黒く、觜鼠色にて太し、薄く紺いうなるもあり、巣はなさず、よろしからぬ物なれども、めづら舗類なり、此類の鳥、巣はみな〳〵能作る物なれ共、巣計作て其内へ入、一日あまり出ざるものにて淋し、