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飼鳥必用

紅雀
此鳥唐鳥にては秋の頃にも候哉、群立渡来るよしなれども、日本〈江〉沢山に不渡、余多のうちには巣組に、宜敷鳥も可有に、無多事故思ひつきて庭籠に放し不申、夫故日本にて子おとつたる事未不聞、拙〈○比野勘六〉案ずるに、長崎江相渡たる歳若鳥お見極め、直に庭籠に巣組に還しなば、手前に飼置て慥成所お見極め、夫より庭籠へ放し候故、年後になり子出来兼可申哉、何れ十姉妹類の小鳥は、四五才以上は産巣には不用立、弐才年第一宜敷聞伝へ、思ひ付ては居たれども、求得ざれば無詮事哉、此鳥の病ひ、口に白き粉のよふなる物付たらば、早く用心して療治すべし、小き鳥には病ひ多発るもの、兼而気お付可飼事、完政年中、本郷辺にて子出来候事も有り、此鳥至而寒にまけ候間、夫故塒は秋する也、但春巣より秋の巣子出来候鳥也、第一易き鳥にて六け敷もの也、