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庖厨備用倭名本草
十/原禽
突厥雀(とつけつしやく) 倭名抄に突厥雀なし、多識篇にえびすすヾめ、今本草一名鵽鳩、李時珍曰、案唐書雲、唐高宗時、突厥犯塞、有鳴鵽、群飛入塞、辺人驚曰、此鳥一名突厥雀、南飛則突厥必入寇、已而果然、又雲、郭璞曰、鵽鳩は北方沙漠地に生ず、大さ鴒の如くにて形雌雉に似たり、鼠脚にて後距なし尾は岐あり、元升曰、本草注如件、さて倭名抄に鵽烏の和名おたどりといへり、其註に陸詞切韻お引て雲、鵽は小鳥似雉也、此説おみれば、本草註の説に似たり、然れば突厥雀は鵽鳥にて、たどりなるべし、今の人たどりおしるものなし、多識篇にえびすすヾめと和名せるは、本草の名字によりたる今案なるべし、