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甲子夜話
五十七
成島東岳の話に、俗に巧婦鳥おみそさヾいとするは誤なり、官庫に沈南蘋が絵たる百鳥図あり、未だ一覧はせざるが、人の話にて聞に、遥に達たる鳥なりと雲、この頃南部にて取りしと雲ふ巧婦鳥の巣お見たり、蘆花お以て作り、其形襪に少しもかはることなし、精細巧致は目お驚す計なり、この鳥一名は刺襪、又女匠とも雲、其巣お見ざれば其名解し難しとなり、南部の方言にては、高見鳥(たかみ /○○○)と雲とぞ、木の至て高き所に巣お掛くるより斯く雲となり、