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袖中抄
十九
あまどり
あまたゆひゆたひたゆたふ雲まよりきこえやすらんあまどりの声
顕昭雲、あまどりとは空の雲の中にすみて、おほかた人にもしられぬ鳥也、その鳥六月つごもり七月になるほどに雲の中に、すおつくりて子おうむが、風など吹て雲いたくさはぎて、そのすのやぶれぬべければ、わびてなくなり、その時ばかりぞ、よの人なくこえおもきくと、或書にかけり、まことゝもおぼえねど、ふるさうしにしるしたれば書のする也、但和名には胡鷰とかきてあまどりとよめり、又あとり(○○○)共よめり、