[p.0816]
閑田耕筆

鶯なども声の引色、三光の囀などいひて、親鳥お撰み、つけ子とてかれがこえお学ばしむとか、これも旧としの内に、声しどうなるより、やう〳〵日影のどかに成行につけて、うちとくる音お、おのれもうれしげに枝うつりして遊ぶさまは、籠の内にさびしげなるにはいづれ、さるおこれは野鳥といやしみ、飼鳥の音あしくなるとて、竹棹などもて追やらふ人もありとなん、畢竟世の風に乗ると、価の貴きにまどふならしやは、あるは耳目の玩びにはあらで、利お求るがために、他の好みお射るも多しとか、士農工商各其業あるがうへに、かうやうの小径によりて、利お謀るは論ずるに足らねども、また大息せらる、