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三十二番職人歌合
三番 左〈持〉 うぐひすかひ
羽かぜだに花のためにはあたこ鳥おはら巣だちにいかゞあはせん
左、羽風だに花のためにはあたこ鳥といへる、やさしくきこゆるに、おはらすだちにいかゞあ はせんと侍るこそ、いかなるゆへとも覚侍らね、おはらは花の名所なれば、かくいへるか、おし ほ山よめるも、せがひのし水よめるも、おほはらとこそ申ならはしたれ、狂歌なれば、わざとか くあるもさる事ながら、所の名などは、いくたびも歌によむやうにぞありたく侍る、十九番 左 鶯かひ
すえあげてよきうぐひすとまむずればやがてとびなきするもおそろし