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源平盛衰記
四十
唐皮小烏抜丸事
小烏と雲太刀は、彼唐皮〈○鎧名〉出来た後、七日と申未刻に、主上〈○桓武〉南殿に御座て、東天お御拝有ける折節に、八尺の霊烏飛来て大床に侍り、主上以御笏被招召けり、烏依勅命躍上、御座の御縁に嘴お懸て奏し申さく、我は是太神宮より剣の使者に参れりとて、羽刷して罷立けるが、其懐より一つの太刀お御前に落し留めけり、主上御自此剣お被召て、八尺の大霊烏の中より出たる物なればとて、小烏とぞ名付させ給ひける、