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古今著聞集
一/神祇
基隆朝臣周防国おしりける頃、保安三年十月にかたりけるは、彼国にしまの明神とておはします、神主牢籠の事有て論じけるもの有とて、神田おかりとらんとしければ、宝前より蛇三百計出たり、其内につの有二つ有けり、しばしありて入ぬ、其後猶からんとしければ、烏数万とび来りて、神田の稲の穂おくひぬきて、みな神殿の上に葺けり、ふしぎの事也、本国の神かかる事、中々おはする物也、