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文恭院殿御実紀附錄

天明いつの頃にかありけむ、休息御所の御庭に烏来りて、飼置玉へる鴿お追しかば、近習の人々其烏おとらへ打ころさんとせしお御覧ぜられ、飼鳥お捉んとせしは、にくむべきことなれど、子烏へ哺む心ならんか、子お思ふはみな同じかるべしと宣ひ、制し玉ひしとなむ、御年十二三ばかりの時の御事なりとぞ、