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日光山志

慈悲心鳥(○○○○) 此鳥当山にて別に名あることお聞ず、唯其喚呼するお以て名に称するにて、仏法僧鳥と名附るが如き歟、初夏の頃よく声お発せり、此山中にかぎらず、荒沢寂光又は栗山辺にも多く栖る由、時として御山内へも廻翔し来り鳴ことあり、人家多き所へは来ること希なり、足の前後二本宛にわかれたり、羽色等図の如し、〈○図略〉かたちは鵯程の鳥なり、おのれ〈○植田孟縉〉先に榛名山へゆきて、社家の家に舎りしに、あるじが話(かた)れるに、当山に三宝鳥(○○○)、戒行鳥(○○○)などすめり、三宝鳥は諦こと希なり、戒行鳥は夜更てなけりといひしかど、春はやく行しゆえ諦ず、其戒行鳥といへるは慈悲心鳥なりと、舎のあるじが話れり、