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塵袋

一かさヽぎと雲ふはみの毛の頭にある鷺歟
鵲は(かヽさき)尾きはめてながく、はしみじかくして、水辺にすまず、山木にすむ、一名には飛駁(はけ)と雲へり、あまの河のかさヽぎの橋と雲ふも是也、また白鷺のたぐひに非ず、烏鵲橋つらなて浪往来すなど申て、あやまちくろき物にこそ雲ひならはしたれ、冬至の日すつくりそめて、春子おうむもの也、〈見毛詩揃〉成尋阿闍梨の在唐記雲、見雅鳥似烏頗小、腹白背黒羽白斑也と雲へり、雅鵲は烏鵲也、兼名苑には犬の異名お飛鵲と雲へり、おもひがけぬ様也、播磨国の風土記おみれば、佐用郡に船引山と雲ふ山あり、此の山に有鵲鳥、世俗雲韓国烏(○○○)、栖枯木穴、春見之夏不見雲へり、此の国にもあるものにこそ、