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八雲御抄
三/下鳥
郭公 山郭公 ときの鳥(○○○○) しでのたおさ うなひご(○○○○)〈童になるゆへなり〉 つまごひ〈万、よぶとも雲、〉 万十八、九、依夏節喧と見たり、 もとななくとよめるは、わが名およぶ心なり、万、いにしへこふる烏とよめり、 橘はやとり也 万、さ月の玉にぬくまでと雲り、是郭公おくす玉にぐせんといへる也、 万、鶯のかひこの中に一ありと見えたり、ちゝは郭公也、はゝが鶯也、うつゝまこと雲り、まこは真子なり、又卯月にたてばよごもりになく、 さ月まつまはしのびね、又いさりなく、よなきおしつゝなどいへり、 万、又あみとりといふは、郭公おあみにてとりて、明年夏まづなかせんと雲心なり、又万、朝ざりのやへ山こえてと雲、又あふちの枝にゆきていばと雲り、又万、おとのかれかにしはつは、さは〳〵ときくもはつときく心也、おちかへりは無風情、 はつね 忍びね