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飼鳥必用

時鳥
此鳥四月何国共なく渡り来る、子は鶯の巣へ産落し、鶯是お生立也、七月末より又何国へか行方しれず、此鳥功能あり、第一疱瘡の妙薬也、其夜酒味噌のかわりし時、此羽根おさし置ば、かわりし酒味噌直ると雲、猶子供かんの虫の薬にも妙也、至て功能あるもの也、昔時鳥の子飼籠にて諦おばめづらしく覚へしが、今は所々に多く飼置也、めづらしからず、去ながら冬は至つて六つけ敷鳥也、冬お凌ば飼よきもの也、猶正月より諦する事也、尾羽のきれいなるはなし、餌飼鯊にて玉子の黄み入七分餌也、生鱣の皮むきにしたるお細かく切、一日に二度ばかり是お飼べし、