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万葉集
九/雑歌
詠霍公鳥一首並短歌
鸎之(うぐひすの)、生卵乃中爾(かひこのなかに)、霍公鳥(ほとヽぎす)、独所生而(ひとりうまれて)、己父爾(しがちヽに)、似而者不鳴(にてはなかず)、己母爾(しがはヽに)、似而者不鳴(にてはなかず)、宇能花乃(うのはなの)、開有野辺従(さきたるぬべゆ)、飛翻(とびかへり)、来鳴令響(きなきとよもし)主橘之(たちばなの)、花乎居令散(はなお井ちらし)、終日(ひねもすに)、雖喧聞吉(なけどきヽよし)、幣者将為(まひはせむ)、遐莫去(とほくなゆきそ)、吾屋戸之(わがやどの)、花橘爾(はなたちばなに)、住度鳥(すみわたれとり)、
反歌
掻霧之(かきヽらし)、雨零夜乎(あめのふるよお)、霍公鳥(ほとヽぎす)、鳴而去成(なきてヽゆくなり)、〓怜其鳥(あはれそのとり)、