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続世継
七/新枕
この右のおとゞ〈○源雅定、中略、〉殿上人におはせしとき、いはしみづのりんじのまつりの使したまへりけるに、その宮にて、御かぐらなどはてゝ、まかりいで給けるほどに、まへのこずえに郭公のなきけるおきゝたまひて、としよりの君の、陪従にておはしけるに、むくのかうの殿、これはきゝたまふやと侍りければ、思ひがけぬはるなけばこそはへめれと、心とくこたへ給けるこそ、いとしもなき歌よみ給たらむには、はるかにまさりてきこえける、四条中納言〈○藤原定頼〉このれうによみおき給けるにやとさへおぼえて、又きゝ給ておどろかし給もいふにこそ侍りけれ、