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源平盛衰記

新院御即位同崩御附郭公並雨禁獄事今年〈○永万元年〉の夏、郭公京中にみち〳〵て、頻に群り諦けり、此鳥は初音ゆかしき鳥なりとて、すき人は深山の奥へも尋入例多き事なるに、今はけしからぬ事なりとて、人耳お峙る程なりけるに、二羽の郭公空にて食ひ合、殿上に飛落たりけり、野鳥入室、主人将去と雲本文あり、此れ怪異なりとて、二羽の郭公お捕て、獄舎に被禁にけり、