[p.0875]
枕草子

鳥は
郭公は猶さらにいふべきかたなし、いつしかしたり顔にもきこえ、歌に卯花はな橘などにやどりおして、はたかくれたるもねたげなる心ばへなり、五月雨のみじか夜にねざめおして、いかで人よりさきにきかんとまたれて、夜ふかくうちいでたるこえのらう〳〵じふあいぎやうづきたるいみじうこゝろあくがれせんかたなし、みなづきになりぬればおともせずなりぬる、すべていふもおろかなり、よるなくものすべていづれもいづれもめでたし、ちごどものみぞさしもなき、