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閑田次筆

高野山にほとゝぎすの帰後れたるが、木の節穴などにかゞまり居て、やゝさむくなるときは、得動かず、餌ばみももとより得せぬお、雀がつどひて餌おあたへ、来るとしの夏に及ぶまで養ふ、いと不思議なることにて、これお雀のほいとゝいふ、ほいとは乞食のことにて、雀のための食客といふことゝぞ、しかるに其辺の山賤ども、夫お探出て焼鳥などにして食ふは、甚だ惡むべし、其情雀にだにしかずといはんと、和田泰順医生の話なり、