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百千鳥

あふはないんこ(○○○○○○○) 〈餌がい〉 〈米、きび、西瓜之種もよし〉
音呼は類多き物ゆへ、其毛色大小きわめがたし、先あらましおしるす、あふはないんこといふは、大きさ土鳩に似て、総身こくもえぎの綠青色也、尾羽黒き上に、群青の照り有、両羽の裏紅のごとく赤し、其色至而見事也、上觜黄にかば色下觜黒し、さつま芋、飯も喰ふ、羊かんなども喰ふ也、西瓜の種もよし、 頭黒いんこ(○○○○○)七毛 〈餌がい〉 〈はや三分、砂糖入、青味入、〉
緋いんこの同牲にて、大きさ総体の色ともにび音呼に同じ頭黒く足の付根之毛群青色なり、緋いんことは此毛替り有、尾黒とび色、頭に黒き内に紫の色有、両羽に黄いろのふあり、声ともに、ひいんこ同類也、
緋音呼(○○○) 〈餌がい〉 〈はや三分え、青味入、砂糖入、〉
大さ、和の青げらに少し大ぶりにて、総身皆赤し、ほろの羽に青き所有、尾羽うす飛色にて、羽黒く赤きふ有、いんこ類大かた此両羽にふあり、跡にふ書お印す、足の付根の毛もえ黄也、頭黒音呼とは此所又違ふ、総体同物なり、
青海音呼 〈餌がい〉 〈はや三分え、砂糖入、青床入、〉
大せいがいと雲は、右緋いんこに少し小ぶり、総身もえぎの綠青色也、咽むねの上迄、赤と黄の横筋有、見事なる物也声は緋いんこ同前にて少し細し、是又羽に赤きふ有、羽うらより見ゆる、ぬけ羽にはおもて裏共に打通してふあり、
小青海音呼(○○○○○) 〈餌がい〉 〈はや三分え、砂糖入、青味入、〉
小青海は大さ緋いんこ、半分ちいさく、大青海に毛いろは替りなし、又赤き所少く、黄色の横筋計むねに有而、頭に群青色有もあり、毛色品々多く種類も多し、
類違緋いんこ(○○○○○○) 〈餌がい〉 〈はや三分え、砂糖入、青味入、〉
大さ常の緋いんこより少しちいさく細み有て、尾少し長み也、総身赤く、脊中あたり群青の色有り、足の付根の毛群青色にて、又風替り成ものなり、
大紫音呼(○○○○) 〈餌がい〉 〈はや三分え、砂糖入、青み入、〉
大さあふはないんこに似て、頭薄赤く、脊中又薄赤く、飛色にかばの色も交たり、胸より腹極むらさきにて見事成、觜黒く尾と羽黒し、群青色あり、足の付根の毛群青色なり、
小紫いんこ(○○○○○) 〈餌がい 右同断〉
大さ小青海に同じ、総身紫に赤き毛交り見事なる鳥也、気がるくてよし、
五色いん古 〈餌がい 右同断〉
大さ緋いんこに少し小ぶり歟、毛いろ猶五色交り見事也、音呼類の内、此五色いんこにこしたる見事成物なし、すくなし、
白音呼(○○○) 〈餌がい〉 〈はや三分え、砂糖少入、青味入、〉
大きさ不同あり、白いんこは今は一向払底也、いんこの内、此類は至而少し、