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閑田耕筆

年毎に洛北今宮の御旅所、四条河原の納凉などに出る、奇獣異鳥の類さま〴〵也、〈○中略〉求歓鳥(きうくわにてう)とて見せしは、秦吉了(しんきつれう)なりとか、鵯鳥(ひよとり)よりも大に鳩より小也、色は真黒に光りあり、言語全、十二三計の童の声にて、人教へねども戯場の隣にて、かしこにて人およぶ声おたゞちにうつしいふ、教る言はもとより也、従来人の知る鸚鵡のだぐひにあらず、其音さはやかなりき、形も大に異也、