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百千鳥

十姉妹 〈餌がい〉 〈きび、もみ、米、あわ、〉大さきんばらに似て、総たひ鳥の風じやがたらに同じ、毛色じやがたらに青味有て腹薄白し、又腹の白からず、薄赤くきたなきも有、尾両羽黒し、口觜上のかた薄黒く、下觜はあひ色なり、じやがたらおも十姉妹といふと見えたり、巣は春秋なすなり、随分能子の出来る物にてせ話なく、文鳥のごとく独そだてあぐる也、〈○中略〉玉子は十六日にてかへる、巣に付たる日お書付おきて、十二三日前より、きみ粟のもやしお作り置、かへる前日あだりよりもはや入おきてよし、夏はもやしも早く出来安し、秋の末頃は出来遅し心得有べし、子はかへりたる日より、廿三四日にて巣お出る物也、春夏も早く出来たる子は、もはや其秋直に子おなす物なり、常も小籠へちいさきふごお釣おくべし、其中にとまる、巣くさはじやがたらの所にしるす通り、同じ事にてよし、