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喚子鳥

こま鳥 〈えがい〉 〈生え四分、あおみ入、粉壱匁、〉
大きさすゞめに大ぶりにてせい高し、総身赤色はらねずみ色、さへづりたかねにていさぎよく、おもしろきものなり、あら鳥春のすへに出る、あら烏其年はさへづりほそし、す子はなつ出る、猶子がい重宝とす、手について羽おひろげ、尾お立てさへづるおてふりといふ、子は吉野どう川より出る、よつてよし野こまともいふ、子のとし暑気おきらふゆへ、夜る昼すゞしき様にかふべし、ほめきつよき時は目おわづらふ、
島こま(○○○) 〈えがい 右同断〉
大きさこま鳥に少し小ぶり、総身うす赤鼠色にて、むねにうろこのふあり、さへづりこまににてほそし、此とりきんごくにすまず、おん国よりきたる、よつて子がいなし、
〈野ごま(○○○) のごとりともいふ〉 〈えがい〉 〈生え壱匁、あおみ入、粉壱匁、かんきにはくるみ入よし、〉
大きさこまに大ぶり、毛色うぐひすににたり、咽にくれないの毛あり、其いろ鳥類になき見事なる赤色なり、秋のすへ冬出る、春またまれに出る、寒気にいたみ飼にくき類なり、さへづりすこしあり、こえほそし、
とうごま(○○○○) 〈えがい〉 〈生え七分、あおみ入、粉壱匁、〉
大きさこまに小ぶり、毛色こまどりにくろみあり、さへづりほそし、此鳥めづらしきるいなり、から鳥にはあらず、和鳥ながらまれに出る、
大ごま(○○○) 〈えがい〉 〈生え四分、あおみ入、粉壱匁、〉
大きさこまどりより大なり、毛色こまにかはる事なし、さへづりこまにおなじ、まれにあり、めづらしき類なり、