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飼鳥必用

峨眉鳥
此鳥長崎〈江〉持渡りし鳥也、先年沢山持渡りし時、長崎にて甚下直故に、唐〈江〉持帰りたるよし、其以後不持渡由、呉越の境に峨眉山と雲山有り、此山桂木多故に、論山となりて終に火お付焼たり、此山に居泊り候峨眉鳥にて、焼し故に鳥も不住、夫ゆへ不持渡と雲噺おしたる人あり、是は往古の事、峨眉鳥は目の廻り目尻へ、見事に白く絵お書たるごとくの府合ありし故に、画眉鳥と名付たる也、何ぞ出生の山お名付るにはあらず、唐にては〆鳥お料理に不仕よし、活鳥にて持行商売するのよし、其内にも此鳥の類種々見得候との咄お聞しなり、何ぞ珍数本朝にても秘蔵の人も可有に、漸々噺お聞しまで也、