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飼鳥必用

からくん
此鳥紅毛人持渡、長崎出島屋敷江飼置き、世上にも流布の鳥也、此鳥の飼方紅毛人尋しに、すり餌に玉子お入、ひともじお割、飼置候よし、勿論米も粒餌飼致との事、細々に教しかど、出島にては飼置たるお見れば、米と飯とお焼物に入飼置、了簡可有候事、此鳥の羽茎お以筆お拵へ、紅毛人文字お書、肉玉子は至て賞味候よし、客人江料理するに、甚厚馳走に成るよし、本朝にて鶴お料理すると同じ事の由、産巣には雄三才より内胸にかもじ初不出、弐才の内にてなければ、つごう事不成、三才以上は身重くして、つごう事不協、玉子は三十二日目にかへる也、三分餌に菜の葉交て飼也、餌至而強くしては飼方ならず、頭に腫もの出来て不宜、いづれにもひともじは大好物也、いたみたる節是用べし、