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重修本草綱目啓蒙
三十三/山禽
鷹 たか〈和名抄〉 ならむらさきどり〈古歌〉 ましらふ あかふ とむらさき こいどり かんこどり〈共に同上〉 一名蒼鳥〈楚辞〉 迅羽〈文選西京賦〉 来鳩〈急就章註〉 猛鷙〈事物紺珠〉 青骹〈同上〉 凌肖郡君〈広博物志〉 決雲児〈事物異名〉 征鳥 凌肖君 曷之箇〈鷹鶻方〉 曷里朶合〈共同上、蒙古の名、〉
凡鷹巣中におる雛お捉て養ふお、すだか(○○○)と雲、即北人多取雛養r之と雲是なり、又囮お以て捉て養ふお、とやまち(○○○○)と雲、即南人八九月以媒取之と雲是なり、又鷹の雛已に長じて、食お求て飛翔するお見て、樹間に網お張り、死鳥お其傍に置けば雛鷹来り、死鳥おとらんとする者お羅し捉るお、あがけ(○○○)と雲ふ、毎歳夏末より漸く毛落ち、冬に至りて新毛生ず、毛落るより出揃までは、とやの中に入置て使用せず、これおとや(○○)と雲ふ、一歳お一とや(○○○)、二歳お二とや(○○○)、三歳お三とや(○○○)と雲、一とやのたかおわかたか(○○○○)と雲ふ、広雅に一歳名黄鷹と雲ふ、二とやのたかおかたがへり(○○○○○)と雲ふ、広雅に二歳名撫鷹と雲ふ、三とや以上はおほたか(○○○○)となるなり、凡鷹お使は雌者お良とす、形雄より大にして性貪る、故に能鳥お捉る、雌なる者お和名に大(だい)と雲ふ、又弟とも書す、雄者は形雌者より小くして貪らず、故に鳥お捉らしむるに良ならず、雄なる者は和名兄(ぜう)と雲ふ、又小とも書す、即集解に雌則体大、雄則形小と雲是なり、鷹は品類多し、酉陽雑俎及び鷹鶻方に詳なり、本邦の古書には新修鷹経あり、其余後出の書多し、本草綱目に鷹お説こと、甚だ疎略にして混淆も多し、角鷹お鷹の一名とするは是に非ず、くまたかなり、鷹より大にして毛角あり、又爾雅翼お引て在北為鷹、在南為鷂と、南北お以て鷂鷹お分別するは非なり、二物自ら別なること通雅に見たり、又一雲お引て大為鷹小為鷂と雲は是なり、鷂ははしたか一名はいたか、即このりの雌にして、鳧鷺お捉る、雄はこのりにして告天子(ひばり)お捉ると、大和本草に見たり、又此書に鷂お鴟に入るも亦非なり、