[p.0955]
醒睡笑

いやな批評
鳶は木にとまりいて、蘆辺にすむ鷺にむかひ、そちほど色白くいつくしき姿は無し、如何にもものいひがそさうにて、いやしいわといふ、鷺腹お立てゝ、そちは鳥の中にても、四十八鷹の内に入て、空おたちまふ風情のよさ、そしらんやうもなきが、物こしのくどさ、ながさきかれぬ、我がごとくこと葉ずくなならば、よからんものおと、こなしこなされ、かくてはこらへられず、たそに批判おうけんと、おのれ〳〵が土産お用意するに、とびは例のくだりたる鼠おもとめ、鷺はかひ〴〵しくとびおどる鰌おとゝのへ、鷺の棲むなる峯に飛ぶ、二鳥の声お聞きて鷺はいかさま言便みじかく当風にあへり、鳶はなにとやひいまでにてよからんものお、後のりよ〳〵が長過ぎて聞かれぬ、古流なりとかくまけよ〳〵と、