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重修本草綱目啓蒙
三十三/山禽
鶚 水沙児(みさこ)〈万葉集〉 覚賀鳥(かくがの /○○○)〈日本景行天皇紀〉 みなこさこどり(○○○○○○○)〈秘蔵書〉 みしやご(○○○○) びしやご(○○○○)〈雲州〉 びしや(○○○)〈参州〉 ひなご(○○○)〈江州〉 うおだか(○○○○) 一名〓〈通雅〉 海鶻〈福州府志〉
水辺に多し、形鴟に似て大に高く翔る、鳴声も鴟に似たり、水上お高く旋飛すれば、魚その影に驚走り、水面に浮ぶお見て下り攫捉る、翺翔水上扇魚令出と雲是なり、江州にて魚網お引挙れば、鶚鴎多く来り集り、水面に浮べる魚お捉る、又深山巌陰に魚お多く積重子置お、みさごのすしと雲ふ、是冬の貯へなり、人これお取るに、重子たる下の魚お取れば、追々新に魚お含来りて積重ぬ、若積たる上の魚お取れば、再び含来らず、又樹枝の繁茂したる処に柴お襯し、その上に魚お積重ぬるもあり、此等の鮓已に久くなりたるも腐らず、人取て賞食す、