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嬉遊笑覧
十二/禽虫
童の諺に、梟は夜が明ば栖お作らうと諦といへり、ほうしくろうと鳴といへるにちかし、されどしか諦といふは他の鳥なり、本満寺日重が和語雑々抄に、はかなしや雪のみ山の鳥だにも世にふることはおもはぬものお、寒苦責我夜明造栖、これは雌鳥が鳴声なり、今日不知死、明日不知死、何故造作栖、安穏無常身、雄の鳴声なり、世にふることおおもはぬよしなり、按、本草寒号虫は鶡鵙と名く、郭璞雲、夜鳴求旦之鳥、夏月毛盛、冬月裸体、昼夜鳴叫故曰寒号、時珍雲、夏月毛采五色、自鳴若曰鳳皇不如我、至冬毛落如鳥雛、忍寒而号曰得過旦過雲々、輟耕錄、〈十五〉五台山有鳥、名寒号虫、四足有肉翅不能飛雲々、虚栗集、寒苦鳥孤婦がねざめお鳴音かな、李下寐させぬ夜身お鳴鳥の寒苦僧、〈才丸〉貧苦鳥明日餅つかうとぞ鳴ける、〈其角〉