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比古婆衣

喚子鳥
よぶこ鳥、いかなる鳥なるにか詳ならず、昔よりさま〴〵のさだ聞ゆれど、それしからむともおもはれず、然るに万葉集に、呼子鳥およめる歌どもの、いづれもほとゝぎすと同じ趣にきこゆれば、もしくはいにしへ大和わたりにてほとゝぎすの一名(○○○○○○○○)なりけるが、今京となりて後、漸にそのものざねおしらずなりゆきて、たゞ古歌にのみすがりてまねびよむ事となりこしお、しかすがにしらずてはと、さかしらにおしあてごとして、世々にとり〴〵の説どものいできたるにはあらざるかと、おもひよりてありつるに、此ころ字鏡集と雲へる古き字訓の書お見て其証お得たり、〈○下略〉