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甲子夜話
十八
孔雀は処々に飼てあれども、其飛お見たるものなし、予〈○松浦清〉在城せしとき、庭籠に養置たるが、掃夫誤て籠お開きしかば、其雄出たり、あれ〳〵と雲中に飛揚りて、空お翔ること雲に及が如く、最高ふして其行こと平かなり、丹肖お弥りて、外城にや到りけん、其尾お曳お仰ぎ見れば、風鳶に孔雀おしつらへたるに異ならず、