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甲子夜話
七十七
文化二三年頃、京都嵯峨のあたりに、雀の如き小鳥〈この鳥何鳥なるや、見る者その名お弁ぜずと、〉数万群おなし来り、昼間は処々お飛回り、夜は篁中に宿するに、竹偃て地につきたりと、かヽる故に林叢もこの鳥のために枯荒せり、去れども其歳飢餓のことなかりしかば、里人豊年鳥(○○○)と呼しと、〈右京師相国寺中光源院の当住、十六七年前鎌倉にて印宗に語、〉