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視聴草
初集九
異鳥(○○) 段右衛門(日暮里付百姓年寄)
文化十年酉五月十四日之夜、構之内に而さし取候鳥、
一頭鷺之首之如く(○○○○○○○)、觜鷹に似たり(○○○○○○)、脊もろこし餅之色也(○○○○○○○○○)、腹は白く鼠色之所もあり(○○○○○○○○○○○)、足長く壱尺程も有之(○○○○○○○○○)、諦事高く(○○○○)、響大造なる声にて(○○○○○○○○)、遠方へ聞へ(○○○○○)、ごう〳〵と七声程宛鳴(○○○○○○○○○○)、又は折々ぼこ〳〵といふ様成声も有之、右さしとり候得ども、餌飼之儀相知れ兼候故、同村御旗奉行天野大和守殿屋敷守り仕候者、已前鳥商売いたし候由承り候故、右之者へ餌飼之儀相頼候処、種々工夫いたし、何れ生餌にて可育と、いろ〳〵川魚抔あたへ候所、とかく鮒のみ食し申候、
右之鳥、御鳥見より御上へ上り申候、 勠罕(さくかん) 水狐蘆(すいころ)にても可有之哉との事に候