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甲子夜話
五十一
信州飯島と雲所にて、土人異鳥お捕得たり、大さ小鴨ほどあり、人寄り合て食せんとて料理し、有合たる大鍋にて煮たるとき、熟するに従て其肉火くふえ、鍋の蓋お内より持挙ぐ、是お見る者懼て食する意なく、その辺の小川に棄たり、翌日見ればその川の下流まで大小の魚悉く死して浮しとぞ、此鳥もしくは酖ならん歟との説なり、〈堀和州話飯田侯〉