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重修本草綱目啓蒙
二十八下/竜
蛟竜 みつち みづち〈○中略〉
附錄、蜃(○)、 竜類にして、和産詳ならず、同名ありて車螯(おほはまぐり)も蜃と雲こと註に詳なり、〈○中略〉蜃楼は〈○中略〉勢州桑名にて、 きつねのもりと雲、奥州津軽にて、 きつねだちと雲、越中魚津浦にては喜見城と雲ふ、海辺には何れの国にもあることなり、津軽にては、春末雪消る時にありて、他時にはなし、夕陽に映じて、海上或は地上に、白気上りて、人物或は楼台屋舎の形お現ず、人集り観る、芸州にて四月、厳島の山の後、海上につヾきて、屏風の如く、諸物の形象お現ず、〈○中略〉ほうらいじまと雲ふ、是皆海気のなす所にして、蜃竜の気お吁するに非ず、〈○下略〉