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物類称呼
二/動物
蝦蟇〈○中略〉按に、但馬国に一種(○○)河鹿(かじか/○○)とよぶ有、谷川の流にすみて、濁る水にはすまぬもの也、其声鹿に似たり、故に河鹿と呼、魚に同名有、別物也、常の蛙の群る中へ放す時は、則常の蛙声おとゞむとなり、肥州にては、これおかはづ(○○○)と呼、常の蛙おばかへると呼也、古歌に蛙なくよしのゝ川の滝の上にとよみ、又みわ川の清き瀬など詠る類、是皆山蛙(○○)也、常の蛙は声かまびすしく、山蛙は声清く寂しきものにて、鹿の声ともきこえ、また鳥の鳴くともきこゆる物なりとそ、無名抄に、井堤(いで)の蛙のおもしろきよしお誌す、是山蛙也、近年江戸にもとめよせたりと聞り、余いまだ不知、