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袋草紙

加久夜長帯刀節信は数奇者也、始て逢能因て、相互に有感緒、能因雲、今日見参の引出物に可見物侍りとて、自懐中錦の小袋お取出、其中に銫屑一筋あり、示雲是は吾重宝也、長柄橋造之時銫くづなりと雲々、于時節信喜悦甚ふて、又自懐中紙に裹物(める)お取出(せり)、開之見に、かれたるかへるなり、これは井堤のかばづに侍雲雲、共に感歎して各懐之退散雲々、