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四季物語
四月
みくさ清きあぜの夕くれは、秋ならねどもあはれおほかれど、蛙といふものは、えせたるむしにて、人の足にな、れ来て、ともすれば、沓の下にしかれて、うでおひしがれ、身おあやぶむ、律だつひじりなどは、此比はあしおとゞむるも、むづかしき身なるべし、〈○下略〉