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大和物語

桂の見こに、式部卿の宮すみ給ける時、その宮にさぶらひけるうないなん、このおとこ宮おいとめでたしと思ひかけ奉りけるおも、えしり給はざりけり、ほたるのとびありきけるお、かれとらへてと、此わらはにのたまはせければ、かさみ○汗衫の袖にほたるおとらへて、つゝみて御覧ぜさすとて、聞えさせける、〈○歌略〉