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重修本草綱目啓蒙
二十八/化生虫
木蠹虫 のむし〈和名抄〉 きくらひむし(○○○○○○) きくひむし ごとうむし(○○○○○)〈信州〉諸木身中に生じ、内より木お食ふ長虫なり、形は烏蜀(いもむし)の如し、木によりて其効異なり、故に下に各木蠹虫お出し、初に総名お挙て木蠹虫と雲ふ、皆後には羽化して天牛(かみきりむし)、叩頭虫(きヽりむし)、飛生虫(かぷとむし)の類となる、各木によりて化するところの虫異なり、木上に生じて葉お食ふ者は蜀(あおむし)にして蠹に非ず、松(まつの)蠹虫(/○)は形鳥蜀の如くにして肥大、長さに寸許、南部にて土人醤油おつけ焼食ふと雲、又臭梧桐蠹虫(くさぎのむし/○○○○○)は醤油に漬炙り、小児に与へ食はしむ、虚損疳疾お治すと雲、津軽にてはとうのきのむし(○○○○○○○)と呼び、信州にては とうなむし(○○○○○)と雲ふ、